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Yamaha Jazz Festival in Hamamatsu

先週も書いた浜松・ジャズ・ウィークの話ですが、今週はこのイベントのメインとなっているヤマハ・ジャズ・フェスティバル・イン・浜松へ行ってきました。元々はヤマハ主体でこのフェスティバルが開催されていたものの、途中から行政と一般団体も加わって浜松・ジャズ・ウィークというイベントに発展したのが歴史的経緯のようです。

今回はこのフェスティバルが 15 回を数えるのを記念して、例年に増して豪華なゲストを迎えてのコンサートになりました。何と言っても Jazz を知らずとも名前くらいは聞いたことがある人がごまんといると思われる、あのアルト・サックスの巨匠「フィル・ウッズ」が、齢 74 歳にして弱小島国のちんけな地方都市にわざわざやってくるというのですから大騒ぎです。北は北海道、南は九州から観客が集まるのも無理はありません。フィル・ウッズは最近ヤマハの楽器を使っているので、その縁で招聘したのでしょうが、それにしてもよくぞまぁ来てくれたものです。しかも、フェスティバルというだけあって彼 Only のライブじゃないわけです。別途東京大阪でもライブがあるようですが、こちらはもちろん彼の単独ステージです。にしても東京、大阪公演のチケットが 5,000 円って安過ぎやしませんかねぇ。ちなみに浜松はフェスティバルなので全プログラム通して一番高い席で 7,000 円。学生席なら 2,000 円でした。(^^ゞ

それはさておき当日のプログラムは全三部構成で、最初は最近売り出し中の日本人女性アルト・サックス奏者矢野沙織のカルテット。まだ 19 歳ながら既に 4 枚のアルバムをリリースしています。今回のライブ後、翌日からニューヨークに渡り 5 枚目のアルバムを録音するとのこと。
演奏は「若いお姉さん」のイメージとは裏腹に結構渋め。音色もソロのスタイルもど派手な感じではありません。正当派路線です。ただ、何だか妙に緊張していたようで、喋りと動きのぎこちなさが出ていました。演奏に大きなミスがあったとかそういうことではなく、楽しむことができましたけどね。ジャズを知らなくても気持ちよく聴けるステージだったと思います。

二部はピアノの板橋文夫さんのトリオ。一部とはうって変わって前衛的なステージ。フリー・ジャズの要素を前面に出し、尚かつ激しくピアノを鳴らすスタイルで、知らない人が聴いたら「岡本太郎」の世界が展開されていると錯覚しそうです。が、その中にきちんとメロディーが歌われているのが凄い。演奏の激しさだけが印象に残るかと思いましたがそんなことは無く、客席も大いに盛り上がっていました。
というか、しばらく前の自分だったらこの演奏が何を意図しているのかさっぱりわからなかっただろうと思います。それでも恐らく板橋さんの表現の面白さやエネルギーは感じることが出来たでしょう。会場のお客さんはジャズのマニアばかりではありませんが、贈られる拍手は大きかったように思います。意味はわからなくとも何か感じるものがあるというのは、演奏者の表現力の成せる業にほかなりません。

メインの三部はこの日のために結成された国内トップ・クラスのプレイヤによるビッグ・バンドと Vocal のチャリート、そしてフィル・ウッズによるステージ。
前半はチャリートの Vocal をフィーチュアしたステージ。しかしチャリート、当然ながら歌上手過ぎです。素晴らしい。一瞬、この後に大御所が控えているのを忘れるほど。普通ならこれで満足です。そして後半はフィル・ウッズ。知らなかったら本当にただの陽気な爺ちゃん。いくら巨匠とは言え、74 歳にもなれば楽器を吹くという行為自体が重労働であり、衰えも感じるような演奏になるかと思っていたら大間違い!! エネルギッシュな演奏でした。フレーズの歌い方、ダイナミクスのコントロール、アレがどうのコレがどうのじゃありません。イイものはイイ、それだけでした。第一線で現役を 50 年も続けているというのはこういうことかと思い知らされました。

バンドも豪華すぎるメンバーの集まりで、チャリートの MC にもありましたが普段は一人一人がリーダーでバンドをもっているような人達です。しかもバンドがメインじゃ無く、あくまでチャリートとフィル・ウッズのバックを務めているだけです。一方で、即席かつリーダーの集まりなのでまとまりが無いのではとも思ったのですが、とんでもない。バッキングのフレーズ一つをとっても次元の違いを実感しました。いや、むしろこういうバッキングの部分でプロとアマの違いが露骨に出ることを認識しました。アマチュアでもプロ並みのソロを取る人はいます。でも、プロ並みのバッキングを取ることはパートタイム・ミュージシャンでは簡単には真似できません。ピッチやリズムはもちろんですが、一番違うのはダイナミクス(強弱)。これをバンドできちんと表現できるためには、相当なスキルとセンスが必要です。言うまでもなくメンバーのソロも素晴らしい。特にトランペットの原朋直さんのソロは音色とフレーズの美しさが際だっていました。アドリブがアドリブでは無い(あたかもテーマのメロディーのように聞こえる)かのような演奏でした。実は原さん、一ヵ所間違えて本来のソロ・スペースでは無いところでソロを吹いてしまったのですが、普通に聴いていたら全く違和感がありません。そういう曲だと思えてしまいます。さすが。

アンコール、もちろんありました。予想はしていましたが、チャリートと矢野沙織もフィル・ウッズと共にステージに現れ、一曲演奏してくれました。これ 20 歳前の、しかも自分と同じ楽器を演奏する巨匠を目の前にしての矢野沙織にとっては感激モノであると同時に苛酷なステージだったに違いありません。ベテランのチャリートが堂々と歌う中、ステージ上で身動き一つ出来ないガチガチの姿が印象的でした。恐らく一部からフィル・ウッズの前座という大役で緊張していたものと思われますが、そのフィル・ウッズの真横に立ちソロを取るとなれば動けなくなるのも仕方がないでしょう。プロとは言えど、あの状況で無難にソロを吹き切っただけでも褒めてあげないといけません。きっと凄く良い経験になったことでしょう。

とにかく、楽しませていただきました。

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コメント

よかったですね!!お疲れさんでした。

生フィル・ウッズを見れたのはもちろんだけど、あのバックメンバー確かにすごい!確かに他では見られないね! 超一流のメンバーがバックをとるとああなる、というのを見事に見せてくれましたね。

A saxの近藤和さんなんかはフィルに弟子入りしていたし、察するに出演料度外視で演奏したメンバーが多かったのではないでしょうか!?

日本人実力No1の多田セイまで来てこの上ないステージになりました。行ってよかたぁ~~
やっぱり多田セイは正統派ジャズの進化形ですわ。


できればもっと近くで見たかった。。

思うに、マクリーンしかり、フィルしかりだけど

大御所ジャズサックスプレイヤーの方が「ジャズ黄金期」の奏法、楽器にには全くこだわらない気がするね。
あの時代を憧れる素人の方が、あのころの楽器はいい!とか奏法がどうだこうの言ってる気がする。
まああの人たちは時代の体験者だから昔からの演奏には飽きてしまっているのかも・・どんどん新しいものに挑戦していきたいのでしょうな。


日本人はジャズ奏法自体わかる人が少ないので、そのころの音に追いつこうとしてるのかもね。
う~ん日本は40~50年遅れているってことか。。

でもこれはアメリカでも同じみたい、POPs系のプレイヤーからはジャズ奏法が未だに憧れの的らしいしね。アメリカの音楽学校はクラッシク、ポップス、ジャズと大きく3つに分類されてるようですね。面白い国だわ。


といろいろ考えさせたれた今回のイベントでした。
う~ん楽しかった~~

投稿: o氏 | 2006年6月20日 (火曜日) 12:29

どもども~、日曜日はお疲れ様でした。O氏の高所恐怖症も吹っ飛ぶ演奏でしたね。(^O^)

音楽に限らず芸術って長くやっていると、それまでのモノとは違う新しい何かを求めるものなのだと思います。周りが何と言おうと本人がやりたいようにやるのがまた芸術の良いところでしょう。
プロかアマかというより芸術家か凡人かというのが過去にこだわるかどうかの違いかも知れません。

フィル・ウッズのような巨匠と呼ばれる人は、その時その時自分がやりたいこと、求めている音を手段を選ばず実現しているんですね。自分の前には誰もいない状況で、自分が次に何をしたいかが自分でわかっているのが巨匠たる所以でしょう。

ま、そんなことはさておき、本当にイイ本番でしたね。Sax セクションの Soli も絶品でした。

投稿: fujaata | 2006年6月21日 (水曜日) 00:05

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