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直らないカセット・デッキ

中学生のころからしばらく FM 放送をカセット・テープに録音(これをエア・チェックという)して楽しんでいました。当時はまだ CD が普及し始めた頃で、アナログ・レコードは再生にそれなりに手間がかかるし保管も大変だったので、FM が最も手軽な音楽ソースだったのです。一般家庭に広く普及していた再生装置はコンパクト・カセット(=一般に言うところのカセット)でした。車で音楽を聴くのもラジオかカセット。なので FM だけじゃなくてアナログ・レコードや CD も自分の好きな曲をカセットに編集録音することが一般的でした。パソコンや CD-R、MP3 レコーダなんてありませんから、編集するには CD やレコードの再生を録音することになります。つまり 60 分間分の曲を編集しようと思ったら、編集に 60 分以上時間がかかったのです。他にも録音レベルの調整だとか、テープが中途半端に足りないときの Fade out 処理だとか、曲間の無音部分に出来るだけ雑音を入れないようにするとか、良い音のカセット・テープを仕上げるにはそれなりのワザが必要でした。今は CD から無劣化で、しかも演奏時間とは関係なく短時間で編集できますから、こんな作業は想像もできないことでしょう。

それで、大学在学中にカセットが下火になった頃、もうこの先まともなカセット・デッキ(録再装置)は発売されないと感じて、カセット・デッキを買いました。TEACV-6030(N) というデッキです。上位機種もあるのですが、そこまで高精度である必要もなかろうということで 6030S にしたのですが、十分に高性能でした。
時代は既に CD と MD になっていて、しかも DAT も購入したため、もはやそんなに出番は無かったのですが、それでもカセットを使うことはあって重宝していました。

先日、引っ越し後にオーディオ装置をセッティングしていて、この V-6030S も接続しつつ再生を確認しました。最近の録音の CD と比べるとさすがに高品位とは言えませんが、カセットの音としては十分に良い音であることが確認できました。オリジナルの CD とコピーしたカセットの音を比較しても、元の音源や人によっては気がつかないと思われるレベルのものもあります。懐かしさも手伝って、何本かのテープを聴いていたのですが、途中で異変に気がつきました。再生はちゃんと出来ているのに、カセットのリールが止まっている!!

停止してテープを取り出してみると、大量のテープがデッキ内に飛び出していました。とりあえず丁寧にピンセットでテープを取り出しきちんと巻き取ってから、テープの走行系を丹念にクリーニングしました。その後テープを替えてトライするもやはり途中でリールが止まります。リールの異常かと思ったのですが、停止させて早送り/巻き戻しをする分には正常に動作します。

V-6030S はリール用のモータとテープを定速で走行させるキャプスタン用の走行系用モータと、テープを入れるドアを駆動するモータの 3 つのモータが使われています。再生音に異常が無いことから、リール用モータとリールをリンクさせるゴム・ベルトだかギアだかが不具合を起こしているのではないかと考えました。特にゴム・ベルトなら経年変化で伸びてしまっていても不思議ではありません。

購入してから 10 年以上経過していますから、ここらでメンテナンスを兼ねてゴム・ベルトなどの消耗品の交換を依頼しようと、椿テレビ商会経由で修理に出しました。一週間後に連絡があって確認するとなんと「修理不能」とのこと。

「え~、ゴム・ベルトすら交換できないのぉ~」と思ったらなんとリール・モータの故障で部品が無く修理不能とのことでした。あれ、だって早送りと巻き戻しは出来るのにリール・モータの故障っておかしくないか?! っていうことで、Web に掲載されている TEAC の修理センターにメールで問い合わせをしました。

症状とこちらが思っていることをメールに書いて送ったところ、やはりリール・モータの故障という返事がありました。今回はこちらがリール・モータの故障であることが理解できるように説明がありました。それによると、再生時にテープを巻き取るためにリールを回すときは、早送りと巻き戻しのときよりも低電圧でモータを駆動するのだそうです。モータが寿命を迎えるときはまず低電圧での駆動が出来なくなるそうで、その他起きている状況も勘案すると今回の症状はまさにそれにあたるようです。ということで部品在庫が無くて修理が出来ないとのことでした。

TEAC はカセット・デッキだけでなく、オープン・リール・デッキも数多く製品を残していますが、これらについても修理の要望が多いようで、修理センターのページには「往年の名機復活に関するアンケート」というページが設けられています。先日書いた DENON のアナログ・プレイヤのレストア・サービスに近いことを計画しているようです。このページを見ると V-6030S はまだ部品在庫があって通常修理で受け付けると書かれていますが、残念ながら今回の故障部品のモータは在庫が無くなってしまったようです。メールを送ったサービス担当の方には修理できない場合は名機復活のリストに加えていただくようお願いしました。担当者に伝えておいてくれるそうですが、アンケートのページからも登録した方がいいかな?! 余談ですが、修理の受付窓口になってもらった椿テレビ商会には、偶然にも同じタイミングで別の V-6030S が修理で持ち込まれたそうです。こちらはコントロール系の不具合だったようで、部品交換で修理できたとのことでした。想像ですが、リール・モータの故障はこの製品の故障パターンとして結構多くて、結果としてモータの在庫が先に尽きてしまったのではないかと思います。だとすれば今後もモータの故障で持ち込まれる修理品は増えるはず。どうにかモータを再調達してくれることを願っています。

V-6030S (8030S もですが) は TEAC のカセット・デッキの集大成とも言える製品で、この機種にしか搭載されていない機能もあり、将来的にも是非動いて欲しい機械です。何とか部品を調達してもらって修理して欲しいと願っています。

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コメント

うちの父さんのV-7000もこないだ再生出来なくなりティアックに修理に出すと、リールモーターの故障で欠品な為修理不可と言われとても悲しかっつたです。今回何とか修理できないかと検索で探していたら、こちらで同じような故障を体験されたようなので思わずコメントしてしまいました。 本当にリールモーターさえあればまた動くわけですから、リールモーターの調達をティアックが可能にしてくれたら、どれだけの人がまたあの音色に出会えるかと思うと無念でなりません。 

投稿: しろぱん | 2010年5月24日 (月曜日) 16:22

しろぱんさん、コメントありがとうございます。ヽ(´▽`)/

そうなんです。リール・モーターさえあればねぇ...。
完璧な形の修理で無くても、音が出ればそれで良いのですけどね。

その後、未だに捨てずに保管してあるのですが、この分だと永久に修理できない気がします。
Dolby S が使えるデッキとして貴重なんですが、残念です。

このままカセットが再生できないと、昔の録音が一切聴けなくなるので、先日実家から一台カセット・デッキを手に入れてきました。
SONY の WM-D6C という Walkman Professional と呼ばれていたポータブル機です。
ポータブルと言えど性能は良かったようで、発売当時は一部業務用途にも使われていたようです。
fujaata もこれで中高生の頃に録音のイロハを覚えました。

ゴム・ベルトだけが劣化していたので、適当なサイズのベルトを秋葉原で調達して交換したところ見事復活。
これを再生機にして、カセットの録音を PC に取り込んで Data 化しようと考えています。

ただ、残念ながら WM-D6C は 2 ヘッド・デッキなんです。個人的には別な用途で 3 ヘッド・デッキを使いたいのですが、そのためのデッキが無いのです。まだ生テープは大量にあるのですが、活かせないのが本当に残念。

誰か互換品でも良いのでリール・モーター提供してくれないかな!!

投稿: fujaata | 2010年5月24日 (月曜日) 22:06

初めまして。
ネットで検索していて同様の症状をお書きになられていましたので、私も書き込みさせていただきます。
リール・モータの劣化についてですが、あきらめてちょっと過激な行動に出てしまいました。要はグリスの劣化だろうということで、ヘア・ドライアで少々熱くなるくらいに暖めてやりましたところ、回るようになりました。
その後は問題なく再生できています。
もしだめだったら、処分しようかと思っていましたが、これで当面は使えそうです。

それから WM-D6C、私も使っています。ピッチコントロールが付いているので、大変重宝していますが、3ヘッドデッキと比較すると高音域のレベル低下が顕著ですね。FM放送の録音・再生ではあまり気になりませんが。

投稿: 同じ症状ですが・・・ | 2011年2月11日 (金曜日) 10:29

はじめましてこんにちは。
「同じ症状ですが・・・」さん、コメントありがとうございます。

なるほど、モータ内部のグリスが劣化して粘度が高くなったという想像ですね。
ダメ元でやってみたいと思います。

ネットで検索すると、皆さんいろいろかつての機材を修理されていますね。
ジャンクオーディオ研究室 (http://www.geocities.jp/sigechan_junk/index.html) さんや、mobile-ThinkPad fan (http://blog.livedoor.jp/jt8085jp/) さんのカセットデッキカテゴリなど、大変参考になりますし、読んでいても面白いです。

どうもこの V6030 で使われているメカは日本電産グループのサンキョー (http://www.nidec-sankyo.co.jp/index.html) (かつての三協精機) 製のもののようです。
同じメカが他社のデッキでも使われており、同様のトラブルがやはり発生しているようですね。

「同じ症状ですが・・・」さんが熱でグリスを溶かしたのと関係がありますが、モータをばらして清掃したら回復したという記事も見かけましたので、一度機会を見つけてやってみようとは思っていたのですが、なかなか時間がなくて放置状態でした。


WM-D6C、さすがに 2 Head なので高域は苦手です。なので、fujaata は多少なりともテープの再生特性でカバーしようと Type-II と Type-IV のテープを愛用していました。本質的な改善にはなりませんがね...。
当面再生専用機として頑張ってもらいます。

投稿: fujaata | 2011年2月11日 (金曜日) 12:04

fujaataさん

ご返信ありがとうございました。
私もモーターの分解も考えたことがありましたが、組み立てなおしても精度が保てる確信がもてませんでしたので、これも最後の手段としておきたいと思っています。
同じメカのジャンクでも安価に入手できれば、やってみたいところです。

それから WM-D6Cについてですが、私も Type II, IVを使っていました。ただ、ノーマルテープと比較しても、大して高音域が改善されたとも思えせんでしたので、ドルビーCと併用してノイズを軽減させることが主目的でした。価格もほとんど変わりませんでしたし。

投稿: 同じ症状ですが・・・ | 2011年2月16日 (水曜日) 12:09

そうですね、確かにモータの分解後、精度良く組み上げられるかはわかりませんよね。
教えていただいた方法であれば、試すのは簡単なので損はなさそうです。まずはやってみる価値ありですね。

WMD6C はあの筐体では当然ながら BIAS や感度の設定はできませんでしたから、高域特性を変えることもできませんでした。
カセットデンスケ同様、主に生録用に使われていたので、中域の MRL (≒MOL) 特性重視の設定だったのかもしれません。
ですが、価格とあの筐体を考えれば、許せる音だったように思います。

投稿: fujaata | 2011年2月17日 (木曜日) 00:11

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